タンク底板のアニュラー板 | TTS

診断事例

付帯工事・前処理なく金属腐食をスクリーニング

タンク底板のアニュラー板

課題タンク底板に腐食発見 検査をしたいがタンク開放は難しい

タンクの開放には生産調整が必要でコストもかかる

製品原料や中間・最終製品が保存されるタンク。プラントには様々な用途で使用されるタンクが多数存在していますが、近年プラントの老朽化に伴い、タンクの漏洩事故等も発生しています。老朽化したタンクの交換には多額の費用がかかるため、検査によりタンクの健全性を確認し、交換の要否を判断したいという要望が増えています。

タンク底板のアニュラー板の腐食発見

このお客様の場合も、あるタンクの底板のアニュラー板に一部大きな腐食があることを外側から確認し、交換が必要か否かを判断するために検査をしたいと考えていました。しかし、タンクの側面や天板は外部からのアクセスが容易で運転中でも検査が可能ですが、底板は次のような理由から手を付けづらいのが実情です。

  • 外部から直接アクセスできない
  • 供液中にはタンク内部にもアクセスできない
  • タンクの開放には生産調整が必要でコストもかかる

実際には、タンクを空にできるタイミングと時間は限られており、その時間内に検査とタンク交換工事の両方を行うことは不可能と判断。そこで、時間とコストがかかる検査を断念し、タンク交換を行う方向で検討を進めていました。

対策タンク開放せず外部からタンクアニュラー板部の減肉を測定

タンク交換前にまずはPECでアニュラー版の腐食範囲を確認

タンクの底板で最も腐食しやすいのは、アニュラー板と呼ばれるタンク底板の外周に近い部分です。この部分はタンク底板と土台の間に水や空気が入り込まないようにシールが施工されている場合が多いのですが、シールが劣化すると外部から空気や水が入ってきやすいため、腐食やそれによる減肉が発生します。

タンク底板のアニュラー板の渦電流による診断

このお客様もタンク底板のアニュラー板部に腐食を確認していたのですが、その後、PEC(Pulsed Eddy Current:パルス渦流探傷)なら供液中でも外部からタンクアニュラー板部の減肉検査が行えるということが分かりました。底板外周のシールを除去した後、タンク底板とタンク基礎の隙間に薄長形状のプローブ(厚さ3mm、長さ約300mm)を差し込むことで、最も腐食しやすい外周から約300mmの間の底板肉厚が、タンクを開放せずに測定できます。

タンク底板のアニュラー板の渦電流による腐食診断

PECならタンクを開放せず短時間でアニュラー板の腐食検査ができ、アニュラー版の減肉の程度によってはタンク交換が不要になる可能性もあるため、お客様はタンク更新前にPECによる腐食検査を実施することとしました。

効果タンク更新が不要となり大幅コストダウン

腐食範囲を確認した結果、タンクの一部補修で対応可能に

PECによりアニュラー板部全周の外部から奥行300mmまでの部分を検査した結果、外周近くに見られた腐食は50mm程度奥まった範囲までに留まっていることが判明しました。そこで、タンクの一部補修のみで対応が可能となり、計画していたタンク更新は不要となりました。タンク更新費用が浮いた結果、大幅なコストダウンに繋がりました。

タンク底板のアニュラー板の渦電流による腐食検査

お客様の声

「外から見たときに、アニュラー板部の一部に大きな腐食が見られたため、タンクの更新を考えてましたが、PECにより腐食は淵の部分だけで、内部の方に大きな問題がないことが確認できました。その結果、一部の補修のみでタンクを継続使用することができ、大きなコストダウンになりました。」

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