ある石油化学工場では、タンクは法令で定められた通り定期的に検査していましたが、対象外である脚柱の検査は過去に実施したことがありませんでした。そこで、安全のために健全性の確認が必須であると考え、球形タンク10基、94本の脚柱検査の計画を立てました。
従来の方法(全面足場施工、耐火被覆解体、目視・UT検査、耐火被覆復旧)では総予算は億単位。6年周期の開放点検に合せて順番に検査していき、その年対象となる設備の検査自体は1年がかりとなる見込みでした。
実際に、予算申請をしたものの、近年の厳しい経営環境の中、予算は凍結されてしまいました。
しかし、地震などの天災にも万全の備えをする必要があり、安全のために検査は避けられないと考えたご担当者は、別の検査方法としてPEC(パルス渦流スクリーニング)に目を付けられました。以前、同工場内で、タワースカート部検査にPECを採用し、精度も検証済みだったことから、球形タンクの脚柱にも適用可能と判断。以下の点が評価され、PECの適用が決まりました。
従来法では億単位で必要だった脚柱検査の費用が、PECによる検査では3,500万円に抑えられ、一部6m以上の高さを持つ脚柱への低床足場施工を含めても、総費用は従来法の1/4にダウンしました。タンクを開放しないため、6年周期の開放点検のタイミングや生産スケジュールに影響されることがなく、1年がかりだった工期も1/5にあたる2.5ヶ月に短縮されました。
「予算規模が大きく、凍結せざるを得なかったたタンク脚柱の検査が実施できたのはPECならではの特長があったからこそ。実現可能な予算だったことはもちろん、その圧倒的なスピードは従来の検査方法とは比べ物にならない。従来の方法では6年の検査周期が一巡するまで、不安を残したままの操業となる。しかしPECによって短期間で健全性が証明されたため、これからは安心して操業することができる。」