球形タンク脚柱の耐震補強工事が行われることになりました。工事を開始し、鋼製の脚柱の耐火被覆を解体したところ複数の脚柱に想定外の腐食を発見。
耐震補強工事の前に腐食箇所の補修工事をしなければならず、この予定外の工事のために工程と工期に大幅な変更が生じました。大規模な補修工事の追加発生で、段取り替えと急な追加人員の確保のため工事は一時中断。工期は大きく遅れ、当初予定していた予算もはるかにオーバーしてしまいました。
翌年の耐震補強工事計画を立てる際、前回の反省を踏まえて、工事計画に変更が生じないよう事前に腐食箇所を把握する方法を検討。以前、同工場内でタワースカート部の腐食検査に採用されたPEC(Pulsed Eddy Current:パルス渦流探傷)が候補として挙がりました。
タワースカート部の腐食検査の際にスクリーニングとしての精度も検証済みで、「耐火被覆の上から検査可能」「足場不要」など以下の点が評価され、事前検査としてのPECの適用を決定しました。
耐震補強工事にあたって、PECによる事前の腐食検査を計画。PECによって運転中に耐火被覆を解体することなくタンク脚柱の腐食状態を把握し、脚柱の腐食の進行度合いに応じて実施する工事を分類しました。
これにより、効率的な工事スケジュールが策定でき、脚柱の腐食の補修工事と耐震補強工事を予定通りの工期と予算で完了。工事が計画通り進んだことで、前年のような工期の延長や追加の人員手配、追加費用といった無駄も省けました。