排水配管の内面減肉 | TTS

診断事例

付帯工事・前処理なく金属腐食をスクリーニング

排水配管の内面減肉

課題漏洩が環境事故につながる排水設備だが管理が難しい

腐食による内面減肉は配管内部で一律に進行しておらず凹凸の状態。そのためゲリラ的に漏洩が発生する

長年使用している排水配管から滲み漏れが発生しました。
滲み漏れ出た排水が側溝などから周辺河川や海上へ流出すると環境事故になってしまうため、排水配管内面の腐食による減肉の状態を把握し、必要な箇所へのメンテナンスの実施など早急な対策が求められました。

腐食による内面減肉は配管内部で一律に進行しておらず凹凸の状態。そのためゲリラ的に漏洩が発生する

配管内部は均一に減肉しているわけではなく腐食によって凸凹になっています。
UT検査(Ultrasonic Testing:超音波探傷)による固定点計測での傾向管理を実施しても、探触子で検査できる範囲が5~10mmのピンポイントのため1cmずらしてしまうと別の凸部や凹部を測定することになることから、計測のたびに値が大きく変動し傾向管理の指標として用いることは困難と言われています。

UT(超音波探傷)での板厚測定は1cmずれるだけで別の凹凸部を測定することになり、定点測定による管理をすることは困難です

UT検査(Ultrasonic Testing:超音波探傷)の実施時や塗装の更新時のケレンで、腐食によって薄くなった配管から排水が滲み出てしまうことも多々発生し、排水配管は担当者にとってリスクが高いだけでなく、管理がとても難しい設備として大きな悩みの種になっていました。
数か所の滲み漏れは氷山の一角でしかありません。内面減肉が進行した配管の最薄部に穴が開くことによる大きな漏れは、いつ、どこでで発生しても不思議ではない状況にあります。そのような事態を避けるためにも、広域の状況を安全に評価してメンテナンスの方向性を決める必要性がありました。

内面減肉が進行した配管の最薄部に穴が開くことによる大きな漏れは、いつ、どこでで発生しても不思議ではない状況にあります

対策PEC(Pulsed Eddy Current:パルス渦流探傷)による広域のスクリーニングを実施

塗装のケレンなしに70mを1日で600点測定

UT検査(Ultrasonic Testing:超音波探傷)と比べた時、塗装や錆をケレンする必要がないため漏洩リスクを回避し測定できること、また(mm)の絶対値評価のUTに対してPEC(Pulsed Eddy Current:パルス渦流探傷)は基準点に対する平均板厚を(%)で評価する相対比較であることから、1日間の診断だけでも広範囲の測定が実施でき配管の健全性を評価できる情報が十分得られると考えられ、PECを導入することにしました。

塗装のケレンなしに70mを1日で600点測定

効果漏洩リスクを回避しメンテナンスの判断に合理的な情報が得られた

UT検査(Ultrasonic Testing:超音波探傷)に比べて網羅性は100倍以上になり、全長の傾向を把握することができた

全長70mの排水配管で1日で検査することができた600点の測定点数をUT検査(Ultrasonic Testing:超音波探傷)と比較すれば、その網羅性は100倍以上もありました。
PEC(Pulsed Eddy Current:パルス渦流探傷)による安全性を伴ったスクリーニング検査の高い網羅性から、全域での腐食のレベルと場所の評価を得る事ができゲリラ的な滲み漏れの予備軍は広域に散在していることがわかりました。
この測定結果を受けて、事故に繋がる前に材質対応を含めた合理的なメンテナンスの計画の立案に着手することができ、環境事故のリスクを大幅に軽減できることになりました。

UT検査(Ultrasonic Testing:超音波探傷)に比べて網羅性は100倍以上になり、全長の傾向を把握することができた

PECによる測定は外装材の解体や塗装の剥離が不要であることから簡単に実施できます。そのためスクリーニングでリスクが高いと評価された減肉傾向の強い範囲を100mmピッチで密に測定するなど、腐食の状態をより正確に確認することもできました。

減肉傾向の強い範囲を100mmピッチで密に測定するなど、腐食の状態をより正確に確認することもできました

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