金属箔を生産しているお客様のロール設備で、絞り(シワ)が発生していました。発生箇所は工程の最後の部分にあたる巻き取りの部分です。現場では、対策として問題が発生している巻き取りロール手前の数本のロールの平行度を計測し、ズレの修正を実施しました。
精度を上げて平行度の計測を行うと、対象が数本であっても非常に時間がかかり、作業は1日がかりになります。それでも絞りを完全になくすまでには至らず、問題を残した状態で運転することになってしまいました。
その工程は、1階と2階の2フロアを使用する長い工程で、ロール設備も両方の階にあります。問題が発生している巻き取りロールは1階に位置しています。対策を検討する中で2階のロールが影響している可能性が排除できないという意見も出ました。しかし、1階のロールに対する2階のロールのズレを正確に把握する方法が分かりませんでした。
TTSに測定の依頼をいただき、ロール平行度計測サービスによって設備全体、つまり1階、2階全てのロール平行度を計測しました。
パララインは、リングレーザージャイロ技術を利用し、ロール間のクリアランスや障害物に関わらず、各ロールの位置関係を素早く正確に診断することができます。
パララインにより全てのロールを計測した結果、巻き取りロール手前の平行度は問題ありませんでしたが、2階のロールが1階のロールに対して大幅にズレているということが分りました。
計測結果に基づいてロール平行度を修正し、試運転を行ったところ、絞りの問題が解消されたことが確認できました。
絞りの解消により、製品の品質向上という大きなメリットを得られたのはもちろんのこと、これまで絞りを少しでも減らすために頻繁に実施していた設備停止・ロール平行度調整などのメンテナンスが不要になり、大幅なコストダウンという副次効果にも繋がりました。
「2階が怪しいと思っていたものの、これまではズレ量を正確に把握することができなかったので、手をつけることができませんでした。
パララインの計測により、2階全体がズレていることがわかり、かつそのズレ量も数値でおさえることができたので、修正も簡単に実施することができました。結果、完全に不良がなくなりました。採用して非常に良かったです。」