プラントの現場には、バルブの内漏れに関わる様々な課題があります。
例えば、五感ではわからないバルブの内漏れ、マンパワー不足、定期修理後の閉め忘れや整備不良などのオペレーションミス、定期整備の実施対象以外のバルブやタワーの上部にあるような日常的に目が行き届かないバルブの管理など、TTSフレアロスサーベイでこれらの課題を解決した有効活用例をご紹介しています。
安全弁・制御弁など法規に関連する機器やバルブは定期的に分解整備をおこなわなければなりません。しかし、”日常的なバルブ点検が行き届いているか?”といえば、ご担当の方は日々沢山の機器の点検を兼務されていることや、場合によっては機器の種類によって管理する部署がバラバラといった理由から、現場に数多くあるバルブの内漏れまで管理が十分に行き届いていないといった声をお聞きします。その結果、気にはなるけれど「生産に影響が出るまでは・・」といったことも少なくないようです。
フレアロスサーベイでは専用の診断器を使用し、安全弁や各種バルブなど指定機器・バルブの一元管理が可能です。初回にお客様独自のデータベースを構築するため、以降は診断をアウトソーシングしていただくことにより、ご担当の方の負担を最小限に、バルブの状態を容易に把握することができます。
定期修理期間にバルブの交換や整備が計画的に実施できるように、「定期修理期間前のタイミングで診断を実施したい」という、ニーズが多くあります。これは運転中に異常が見つかっても速やかに対処ができない(定期修理でしか対処ができない)認識によるものです。
確かに、定期修理期間しか交換ができないケースもありますが、あるお客様では定期修理期間後の採用で、不良箇所の70%が増し締め・スチーミングの処置により、診断後、速やかに正常復旧できた実績もあります。漏れの中には、バルブの締め忘れ(オペレーションミス)も含まれており、漏れの発見と対処の対応が早ければ早いほど、ロスの削減につなげることができます。
フレアロスサーベイでバルブの状態を見える化し、対処が可能なものからその場で正常化することで次の定修を待たずして運転中の内漏れを最小限にすることができます。
法規に関わるバルブは、定期的に点検タイミングがあります。一方で、省エネの視点でみると、管理が必要なバルブは、法規対応のバルブだけでなく、流体が流出するとロスに直結する全ての末端バルブが対象になります。例えば、これまで盲点であった、バイパスバルブ限定して診断をすることだけでも、大きなメリットを出すことができます。
あるお客様においては、バイパスバルブだけで、20%近くの異常箇所が発見されました。外部による検証でも、1箇所あたり5,000千円/年の漏れ箇所も確認いただきました。診断の効果を実感いただき、それ以降、定期的に診断サービスをご利用頂いています。
あるお客様では取り扱っている流体組成(C3・C4など)により、漏れが発生すると「結露・霜つき」が目視で確認できるため、漏れは発生していないと考えていました。しかしフレアロスサーベイを実施すると、安全弁の異常が確認されました。この事例は、流体組成に関する一種の”思い込み”が起因しています。
液体状態であれば大気圧に漏れれば結露が発生しますが、気体の状態では、結露は発生しないため、結露など表面上に現れる状態変化を見るだけでは全ての漏れを見つけることはできません。加えて、実際の配管では、この図の様に様々な用途のバルブがいくつも並んでおり、ここからそれぞれの組成状態に応じて日常点検手法を変えることは困難です。
フレアロスサーベイは、超音波と温度を検出し組成毎の専用ロジックを活用することにより網羅的に診断判定することを可能としています。
現場には安全弁や配管が保温で覆われ保温の内部はトレースで加温されているケースがよくあります。しかし保温に覆われている場合、現場オペレーターによる五感を用いた点検で、生産トラブルの前兆である漏れを検知することはさらに難しくなります。
特に安全弁などの機器は、異常が起きた場合、装置の破損につながるだけでなく、装置内の圧力・温度といった運転バランスが崩れるため生産効率・処理量を上げることができなくなり、最悪は装置・生産ラインのシャットダウンにも直結する重要な機器のため、突発停止などの生産リスクを避けるためにも、日常的に機器の健全性を確認することが必要です。
フレアロスサーベイでは保温を全て解体する必要ありません。専用の診断器のセンサーが安全弁に触れることができるための穴を一か所開けるだけで、安全弁の健全性を効率的に確認できます。これにより復旧工事も少なく工事期間およびコストをミニマムに抑えることができます。
あるお客様では5.0MPaG設定の安全弁に漏れが発生しており装置の昇圧試験の結果、2.0MPaGの時点で昇圧不能(漏れ大)が確認されました。事前のオペレーターの方の見立てでは漏れはなく、現場を熟知された方も見つけられない漏れを特定した精度について驚きの声をいただきました。
この診断事例のように、生産トラブル前の予兆を捉えることで、稼働状態のまま適切な処置につなげることも可能になります。
あるお客様では、バルブを直列かつ多重につないで閉止していることから、漏れはないと認識されていました。そのため、これまで日常的な管理はあまり意識されていませんでした。しかし実際に診断をしてみると複数の多重バルブで異常が見つかりました。
多重バルブはシングルバルブよりも安心感がありますが、必ず漏れないと言い切れるわけではありません。その思い込みによって、知らず知らずのうちに漏洩させているケースがあります。
また、多重バルブによる思い込みの事例として、可燃性ガスの外部漏れを発見した事例もあります。こちらも直列に並んだ全てのバルブを通過し、フロア付近の配管から可燃性ガスが外部に漏洩していました。こちらのケースは直ちに改善処置を取り、爆発や吸い込みによる労災の未然防止につながっています。
この診断結果を受けて、現場からは「多重のバルブで管理しているので漏れはないだろうと油断をしていた」「フレアロスサーベイをしてもらって本当に良かった」とのお声をいただきました。