ある工場で、重要な冷却水配管が漏れるという事故が発生しました。その配管は海岸沿いに設置されているため、潮風の影響(塩害)により外面腐食が進行し、広範囲(数百m)にわたりさびスケールが散在している状況でした。
漏れ事故を受け、冷却水配管全体の腐食検査が計画されましたが、実施のためにクリアしなければならないハードルがあることが判明しました。
ケレンが不要な技術として、ガイド波検査の適用も検討されましたが、腐食箇所が多く、また本件では、減肉の程度を定量化する必要もあったため、ガイド波よりもPEC(パルス渦流モニタリング)による検査が適していると判断されました。PEC(パルス渦流モニタリング)が適用された理由は、以下の通りです。
測定は、トータル距離約600mの配管で、目視で確認された240の外面腐食エリアに対し、約1300点の計測が実施されました。
測定にあたっては、さびスケールのケレンが不要で、検査の際配管に穴が開いて漏れる心配が無いので、作業が安全に進められました。また、足場の設置が不要で、検査費用も抑えられました。
測定の結果、ある特定の区間に腐食の激しい箇所が集中していることが確認されました。PEC(パルス渦流モニタリング)の実施前は、外面のさびの状態だけでは各配管の実際の減肉状態が全く分からず、いっそ大きな予算を組んで全面更新すべきなのか否か、保全計画も立てられないような状況でした。
しかし、スクリーニングにより、配管全体のコンディションが把握できたため、方向性が明確となり保全計画が具体化。今回の計測によって得られたデータを基に、しきい値などの判断基準が策定できる見込みで、今後的確に保全計画を立案するための議論が始まりました。
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