レーザー技術を用いて設備の位置変化をモニタリング | TTS

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レーザー技術を用いて設備の位置変化をモニタリング

設備の位置は変化する

基礎にしっかりと据え付けらた設備や機器も、稼働中に様々な要因によりその位置は変化してしまいます。見ただけで異常と判断できるケースもあれば目視では発見できない微小な変化の場合もあります。

また、設備や機器全体が均一に位置変化することは稀であり、特定の部分の移動が大きくなる場合が大半です。

回転機の場合、設備が位置変化を起こすと、ミスアライメントが大きくなり振動値が増加したり、負荷が増大して原動機の燃料や電気の消費量が増加するという問題を引き起こすことがあります。そのまま運転を続けていると、最悪の場合、短期間で機器や設備が故障してしまうこともあります。

設備の位置が変化する理由

このような設備の位置変化は何故起こるのでしょうか?要因としては以下のようなものが考えられます。

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  • 停止時と運転時の温度差による熱膨張・収縮
  • 配管からの応力・応力変動
  • 基礎の変動や地盤沈下
  • 設備の負荷変動・過負荷
  • 太陽光照射による部分温度上昇
  • 外気温の大幅な変動

例えば、蒸気・ガスタービンなど運転時に高温になる設備や、逆に極低温流体を輸送するポンプ・ブロアなどは、据え付け時と運転時の状態が大きく異なる為、あらかじめ製造メーカーにより温度変化による熱膨張量・収縮量が計算され、常温時と運転時のアライメント差=アライメントオフセット量が算出されています。

このような設備では、運転中(高温・低温)にアライメントが正しくなるように、アライメントオフセット量分だけ“ズレた”アライメントを常温時に行わなければなりません。

しかし、このような対策を行っていても以下のような問題・課題もあります。

  • メーカー指定のアライメントオフセット量を遵守しても振動値が大きい
  • ある特定の負荷・条件の時に、振動が増大する
  • 運転中に行った振動FFT分析では、アライメント異常が疑われる結果が出ても、停止時に測定するとアライメントの数値に問題はない

これらは、運転中に予想外の位置変化を起こしていることが原因かもしれません。運転開始から、定常運転に至るまで、設備の動き(変位量)をモニタリングすることで、設備がどのような状態変化を起こしているかを正確に掴むことができます。

その結果、正しいアライメントオフセット量の決定、あるいは位置変化の原因特定が可能になるのです。

レーザー変位量モニタリングシステム

設備の変位量を測定するためには、2点の相対位置を測定しその変化量を掴む必要があります。測定システムとしてロータライン ウルトラ iS ライブトレンドを使います。

 

レーザー発射器とセンサーをそれぞれの装置に取り付けることで、連続的なモニタリングが可能になります。測定は、設置した2点間の変位(XY方向の移動距離と角度変化)をレーザーを用いて計測して状態を捉えます。測定データは、設備の変位移動量のみならず、アライメント変化量(オフセット・面開き)やポーラ図などのデータも取得可能です。対象アプリケーションとしては、以下が挙げられます。

  • 高温運転設備の熱膨張量計測
    (アライメント変化・軸受け位置の変化量・サポートの変位量など)
    例:蒸気タービン・ガスタービン、エキスパンダー、コンプレッサー
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  • 冷凍機などの熱冷却変位量計測
  • 設備基礎・地盤変動による変位量計測
  • 振動異常設備の変位量計測による原因追求(配管計測など)
  • ロール設備 アキュムレータの運転位置によるキャリアの変化計測

設備変位量計測による問題解決事例

お客様の声

メーカー指定のオフセット値で据付していたが振動値が大きい

温度変化の大きい設備のため、常温時にメーカー指定のアライメントオフセット量を考慮して実施していましたが、振動値が下がらず、原因特定のために変位量の計測を実施しました。
その結果、メーカーが指定するアライメントオフセットとは逆方向に面開きが変化していることが判明しました。オフセット値を見直し、アライメントを実施した結果、振動値が正常範囲内に低減しました。

振動分析ではミスアライメントが原因であることを示す結果が出たが、停止時に測定するとアライメント値は正常であった

振動値が大きいためFFT解析を実施したところ、アライメントに原因があることが推定されましたが、設備を停止しアライメントを測定すると正常でした。
原因特定のために設備変位量の計測を実施したところ、運転中ある条件の時に配管に圧力がかかると、配管自体が動いていることがわかりました。配管が動くことにより、装置に応力がかかり設備が変位し、アライメントを狂わせていたのです。

配管サポートを見直し、配管に圧力がかかっても配管が動かず、装置に掛かる応力が変化しないように改善し、振動値が低下しました。

新設計の設備が、計画通りの動きをするか検証したい

メーカー新設計の設備です。アライメントオフセット量を決定するためには、計算どおりの移動をするかどうかを確認する必要があります。変位量計測により、計画通りの動きをしていることが確認され、その数値に基づいたオフセット量を決定しました。

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