定期整備期間中に効率良く精密検査や補修を行うためには、事前のスクリーニング検査が欠かせません。
そのスクリーニング検査にUTを採用されている場合があるのですが、金属腐食の精密検査手法であるUTを用いてスクリーニング検査をしようとすると、「点」でしか診断をすることができないため、診断箇所で抜けモレがないようにするためには測定ポイントを増やすしかなく、逆に多くの工数・費用がかかってしまいます。
Bracelet(ブレスレット)検査は、UTのような「点」よりも広い「面」で連続的に板厚情報を取得できるため、測定のカバー率が上がり腐食の見逃しが発生しにくく、孔食(ピッチング)のような小さな腐食も発見します。
また保温材の上から測定できるため検査の前処理が不要となり、検査工数を短縮できます。
診断する対象に形状に沿ったプローブをスライドするだけで、プローブ面と移動距離の面の範囲を連続して測定でき、測定されていない(モレ)箇所を大幅に減らすことができます。
診断結果はリアルタイムでグラフとカラーグラフィックで表示されるため、問題箇所もすぐに確認できます。
プローブを配管に沿わせてスライドさせるだけで、保温配管では6B配管を4回で全周を測定できるため、スピーディーに実施できます。
電磁場が測定対象物を通過する際の変化(振幅と位相)を検出し、減肉箇所を特定するTT(Through Transmision)と呼ばれる技術を利用しています。
磁界を利用した検査であるため、測定対象とプローブとの間に強磁性体がなければ、最大75mm厚の保温材の上から測定が可能です(75mm以上離れている場合はお問い合わせください)。
「面」で測定するため、従来の方法では見落とされがちであった孔食の発見にも効果を発揮し、重大事故の防止につながります。
対象設備 | 裸配管 | 裸配管/裸設備 | 保温配管/保温設備用 |
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検査対象 | 内外面減肉 / 浸炭 | 内外面減肉 | 外面減肉 |
配管/設備サイズ | |||
最大板厚 | 12.7mm(炭素鋼) | 19mm(炭素鋼) 25.4mm(鋳鉄) |
板厚制限なし ※保温厚さ:最大75mm* ※カバー材質:ステンレスまたはアルミ(亜鉛板金は保温20mmまで) |
検査速度 | 0.4~2m/分(仕様周波数による) | ||
CUIの検出精度 | - | - | 25%深さ×⌀25mm (保温75mm時。保温が薄い場合、精度UP) |
裸配管内面腐食の検出精度 (板厚12mm以下の場合) |
20%深さ×⌀6mm(外面)、25%深さ×⌀12mm(内面) | - |
*:75mm以上の場合は、お問い合わせください。
診断完了後には、診断レポートを作成・提出します。レポートには信号の大きさをカラーマップで表示します。また異常信号箇所をカラーマップ上に明記します。異常信号箇所が一目でわかるため、2次検査および補修箇所を絞り込むことができます。
Bracelet検査は、電磁場が測定対象物を通過する際の変化(振幅と位相)を検出し、減肉箇所を特定するTT(Through Transmision)と呼ばれる技術を利用しています。
Braceletプローブは測定対象に腐食や浸炭のような材料変化があると、スポットコイルとディファレンシャルコイルの2つの受信コイルが磁界の位相と振幅の変化を捉えます。
スポットコイルによる測定は材料表面の変化が大きくなるほど検出結果の指示値が大きくなります。
一方、ディファレンシャルコイルによる測定はそれ自体では材料表面変化に対する検出結果の指示値は大きくありません。
しかしながら、ディファレンシャルコイルではスポットコイルによる測定とディファレンシャルコイルによる測定の指示値の差を検出することができ、この差を活用することにより、ピッチング(孔食)のような、より狭い範囲の変化をとらえることができます。