オンラインによる振動監視システム 前編 - システム概要 | TTS

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オンラインによる振動監視システム 前編 - システム概要

回転機械設備では振動測定・モニタリングが有効

工場内の設備には、一旦故障すると

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といった影響が出るものがあります。
このような設備は運転状態を常時モニタリングしておいて、早期に異常兆候を見つけ出すことで被害を最小限にとどめることができます。

回転機械設備では振動測定・モニタリングが有効なことはよく知られています。しかし現実には、ポータブル振動計で定期的振動測定と傾向管理によってモニタリングする方法では実施部門が大きな労力負担を負うことになり、継続して定期的にデータを収集するという仕組みがうまく働いていないことがあります。

コンディションモニタリングでは、測定データを比較し、正常と異常、劣化や損傷の進行を見極める必要があるため、継続できるかどうかが成功のキーファクターになります。

オンラインによる振動測定・モニタリング

実施部門に労力がかかることが継続できない最大の理由であるならば、測定の労力を要しないオンラインシステムは有効な解決手段なのですが、これまでは大きな初期投資が必要でした。

しかし現在では、機械の破損を防ぐ簡単なものから多くの設備を一度にモニタリング出来るものまで幾つかの選択肢があって、対象設備に最適なものをその機能とコストから選択できます。
また大規模システム用であっても拡張性があるので、小規模なものから開始し、徐々に拡大してゆくことができます。

しかも同軸ケーブルを使用することにより、大きな負担であった計装工事費を従来より30%近く低減することができます。もうオンラインによる振動監視システムは決して手の届かない、高額なシステムではなくなりました。

今回は、これから振動管理を始めたいが業務負担を増やしたくない、あるいは定期的な振動測定では異常の検出が遅れ、設備停止が発生している状態を改善したいと考えておられる方々に、オンラインシステムの全体をご紹介します。

オンライン振動監視システム構成図

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オンラインによる振動測定・モニタリングの基本

まず、皆さんがモニタリングをしたい設備にはどのような特徴がありますか?

  • どの箇所でどんな故障を過去に起こしたか?
  • 回転数や速度、負荷が変化するか?
  • 複雑な歯車機構を持っているか?
  • モニタリングしたい箇所はいくつあるか?
  • 振動の原因を特定する必要があるか?

これらの情報を整理して、何ができればいいかをまとめてみます。

例えば、ファンやポンプであれば回転数や負荷の変動はありません。運転条件は安定していますので、周波数解析までおこなう必要はないでしょう。しかし、羽根などのアンバランスから軸受け故障へ至るケースが多いので、アンバランスの兆候をつかみやすい速度をモニターすることが必要です。

このケースでは、振動(速度)をモニターすることが必要なので、振動の大きさを4~20mAの電流に変換出力する振動センサー(VIBROTECTOR(バイブロテクター))を設置し、調節計やPLC/DCSに取り込み、振動が大きくなれば警報を発するようにシステムを作ることができます。流体の圧力や温度をモニタリングして、調節計などから警報を発するのと同じ考え方で、最も手軽に導入できる方法です。基準値はISOの基準を採用します。

VIBROTECTOR(バイブロテクター) - 振動転送器

  • 振動を4-20mAの出力に変換して出力
  • 簡単に取付けられ、設置コストが安い

振動と軸受状態の双方を同時にモニターし、基準値を超えると警報を発する必要がある場合は、専用の設置型振動モニター(VIBREX(バイブレックス))が最適です。

これら2つの方法は、リアルタイムのモニターと基準値管理で設備をモニターし保護します。大きな特長は、1箇所から始められること、計装工事が小規模で済むことです。振動センサーは制御盤との接続だけであり、VIBREXはAC電源と警報出力の接続だけです。

VIBREX(バイブレックス) - 最大2ポイント測定

  • 機械の近くに取り付け、配線工事も簡単な、最大2ポイント測定のコンパクト・モニタリング装置
  • 振動速度と軸受用にショックバルス
  • 閾値を設定して直接アラームを出力

モニター対象が多い場合

設備台数が多い。あるいはその中に遊星歯車のような複雑な構造をもつ設備やポンプのような設備も含まれる場合はSignalmaster(シグナルマスター)が適しています。

ひとつのSignalmasterには、9個の振動センサーが接続できるマルチプレクサーを連続して6個接続できるストリングラインが3本接続でき、最大162箇所をモニタリングすることができます。

振動センサーとマルチプレクサー、マルチプレクサー間、マルチプレクサーとSignalmaster間は同軸ケーブルで接続します。従って中継ボックスとローカルステーション間をそれぞれ配線する場合に比べ、計装工事費が低減できます。

また測定箇所を少しずつ増やしていくことができるので、予算の規模に合わせて拡大でき、大きな初期投資の負担を避けることが出ます。

Signalmaster(シグナルマスター) - 最大162ポイント測定

  • 多くの標準的な機械に最適な最大162ポイント測定のモニタリングシステム
  • シングルケーブルで配線工事が簡単
  • 現場設置スイッチングボックスで拡張が簡単
  • PCに接続していなくても単独でモニタリング
  • Ethernet でネットワークに接続
  • PCソフトで測定の設定や測定値の評価分析を実施
  • 外部の専門家による遠隔診断が可能

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