腐食検査が重要となってきた理由 | TTS

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腐食検査が重要となってきた理由

40年超の稼働年数も珍しくない日本のプラント

日本のプラントは高度経済成長期に建設されたものが多く、現在稼働中のプラントも既に40年を超えて使用されているものが少なくありません。その中にある設備も、一般的な設計寿命から考えると既に大幅に超過してしまっているのが現状です。

新たに一から作り直すことができれば老朽化の問題は解消しますが、プラントを作り直すことはそう簡単にできることではありません。かと言って、老朽化したプラントに手を入れずに運転を続ければ、設備の故障や各種配管からの漏えいが発生します。

40年超の稼働年数も珍しくない日本のプラント

事故の大部分は「腐食管理不良」

プラント老朽化の問題は、データにも表れています。経済産業省が発表している事故件数の推移をみると、平成15年あたりから顕著な増加傾向が見られます。設備の維持管理に関連するトラブルの要因としては「保温材下腐食(CUI)など外面腐食が発生しやすい場所は?」や「外観目視検査の問題点」で述べているような「腐食管理不良」が大部分を占めており、老朽化が進んでいるプラントの中で腐食管理が追い付いていない状況がデータからも見て取れます。また、トラブル要因の中で人的なものとしては「誤操作」「誤判断」が多く報告されています。

「誤操作」「誤判断」と言っても、単純ミスに類するものから、経験不足や知識不足に起因するものまで様々です。中でも、ベテランエンジニアのノウハウや技能が上手く伝承されていないという課題はプラントの老朽化と同様、大きな問題だと捉えられています。つまり、「不十分な腐食管理」×「ベテランエンジニアのノウハウ」という観点で考えると、これまでと同じメンテナンス手法は限界に来ていると言えます。

現象別の事故件数の推移(災害)

現象別の事故件数の推移(災害)

  • H13に事故の定義を明確化したことやコンプライアンス意識の高まりにより増加傾向で推移
  • 近年の事故件数の93%以上が噴出・漏えいの事故
  • 噴出・漏えいの事故は、平成13年以降増加傾向で推移しており、平成30年は過去最高

事故の原因(災害)

事故の原因(災害)

  • 事故措置マニュアルの変更により、平成23年より項目を変更
  • ハード面の問題は腐食管理不良、ソフト面では誤操作・誤判断が多い

人身事故の現象別の事故件数の推移:人的被害が一名以上(災害)

人身事故の現象別の事故件数の推移:人的被害が一名以上(災害)

  • 近年の人身事故は、爆発、火災が減少し、噴出・漏えいが増加している。

一度事故が発生すると、機会損失だけでは済まず、人的損害や周辺住民への対応など様々な問題が出てきます。そのため、事故を発生させることのないようにプラントは維持管理されなければなりませんが、管理手法のひとつであるBM(Breakdown Maintenance)、つまり故障が起きた後で修理復旧するのではなく、故障を未然に防ぐTBM(Time Based Maintenance)を採用しプラントの信頼性向上に取り組まれている事業所もあります。しかし、そのTBMであっても、計画通りにメンテナンスが進捗しなかった結果トラブルが発生してしまった例があるようです。

TBMでカバーできない部分を補う方法として、CBM(Condition Based Maintenance)が考えられます。これは様々な検査技術を駆使することでリスクがある箇所を早期に特定し、手遅れになる前に未然に対処する手法です。

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