ポンプ据え付け時の芯出し | TTS

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ポンプ据え付け時の芯出し

ポンプ据え付け時の芯出し(メンテナンスを学ぶ:芯出しの入門講座)

新品のポンプが短期間で故障

お客様から、購入したポンプが数か月で故障してしまうというお話をよくお聞きします。故障の状況は「ベアリング破損」「メカニカルシール破損」「振動・異音」など様々です。では、なぜこのような現象が起きてしまうのでしょうか。その理由と解決方法をご紹介します。

ポンプ故障の原因は芯ずれ?

あるデータによると、ポンプに限らずファンやコンプレッサーなども含めた回転機の不具合の原因は、芯出し不良が約6割を占めると言われています。これに従えば、短期間でポンプが故障した場合はまず芯ずれを疑うのが近道です。しかしここで、なぜ新品のポンプなのに芯ずれを疑うのかという疑問も生まれます。

新品のポンプでも運転前の芯出しは必要

ポンプメーカーから納入されたポンプは芯出し完了済み、という認識をお持ちの方がいます。確かに、メーカーの組立時にはある程度の芯出しはしていますが、例えば運送中の振動や出荷時にポンプを釣り上げる作業工程などで、芯ずれが発生してしまうケースが多くあります。ポンプメーカーの取扱い説明書には、運転前に芯出しをする必要性を明記している場合も多く、新品のポンプであってもまずは芯出しの精度を疑い、軸芯の状態を正確に測定することが重要です。

配管応力による芯ずれの発生

ポンプの据え付けと配管接続の作業で芯ずれが発生してしまうケースもあります。
ポンプを据え付け、出入口配管を接続した際に配管応力が発生します。このことが原因でポンプのケーシングが歪み、芯出しの状態は変化してしまいます。

ポンプベース、基礎の平坦度が影響

ポンプベースのレベル出しにも同じことが言えます。ポンプを入れ替えた際、ごく稀に基礎がガタガタでありながら、基礎の手直しをしないまま新品のポンプを据え付けされるケースがあります。当然、ガタガタの基礎であれば、平坦度が悪い状態でベースを基礎に固定することにより芯ずれが発生してしまいます。

芯出しとポンプのメンテナンスサイクルの関係

芯ずれは、振動・カップリングの発熱・ベアリングの短寿命などに直結します。特にベアリング寿命に関しては芯がずれると軸受負荷は大きくなり、芯ずれによって軸受負荷が2倍になると寿命は1/8まで短くなるというJISの計算式があるほど、密接に関わっています。

また、正確に芯出しされた軸芯は振動なども抑制し、芯がずれるスピードも遅くなるため、精度は経年で大きく変化することはありません。よって、ポンプが新品の状態での芯出しは、初期トラブルを防止するだけでなく、メンテナンスサイクルの延長、生産機会損失リスクの回避など、将来的なメリットを生む作業と言えます。

精度良くスピーディーに測定するためのツール

納入された新品のポンプは、すぐに据え付けして使用したいと考えるお客様も多いと思います。その理由は様々ありますが、多くは生産ラインを早く復旧したいということではないでしょうか。しかし、前述のように据え付け後は芯出し作業が必要です。また一方で、芯出し作業が必要と分かっていても、正確な芯出し作業には時間と労力(作業工数)が必要と思い、敬遠されている方もおられるかもしれません。

金属製の定規で測定すれば早い時間で作業は終了しますが、トラブルを回避できるだけの芯出し精度は得られません。やはり、ダイヤルゲージまたはレーザーアライメントを使って0.01mm単位の高精度で測定する必要があります。しかし、そのダイヤルゲージも測定バーのダレ(ダイヤルゲージの重さによるバーのたわみ)が発生し、測定精度に影響を与えます。また、作業者の技量に応じて、測定時間にもバラつきが出ます。

ダイヤルゲージでは測定バーの重さによるバーのたわみによってダレが発生し、測定結果に悪影響を与えます

これに対しレーザーは光なので、ダレという現象が発生せず正確な測定ができます。加えて、作業時間を短縮することも可能なため、据え付け時の芯出し作業に最適です。

レーザーはダレが発生せず、正確な測定が出来ます

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